第24話

「海歟さん、

きてくださったんですね 」


ふわりと微笑むその笑顔に、

釣られて、口角が自然に上がる。


「いつくる、」


「もう少しです、

お待たせしまってごめんなさい、」


千歳は、そう言ってまた階段を

上がっていった。


何故だか、穴が空いたように、

虚しさを感じる。


気を紛らすように、

煙草を取り出し火を点ける。


千歳が煙草嫌いなのに気づいた、

だから、アイツの前では吸わないようにしている。


「お待たせしました 、」


千歳がやってきたので、

素早く煙草を灰皿に押し付ける。


それを見た千歳は、

不思議そうに首を傾げる。


「海歟さん、

煙草大丈夫ですよ?他のお客様も吸いますし、」

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