第25話

その言葉にイラついた。

理由はわからない。


「海歟さん?」


何も言わない俺の顔を覗き込む千歳。


気にくわない 、

俺だけじゃないことに 。


何故こんな事を思うのか

わからない 。


それにもイラつく。


「具合悪いんですか?」


「あぁ、」


思わずついた嘘に馬鹿らしくなった。


「…ッ!」


ヒヤッとした額の感触に、

思わず反応してしまう 。


千歳の手が俺の額にあった。


「熱は…ないみたいですよ?」


思わず、千歳の頬に手をかざす。


「か、海歟さん?」


「千歳、明日の夜時間あるか?」


「はい、大丈夫です」


「明日、迎えにいく待ってろ」


これ以上、一緒にいたら

理性が持たない気がした。


千歳に見送られて、店の前に停まっている

ベンツに乗り込む 。

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