第33話

「僕に会社を作ってくれたのも、父さんが死んだ後で揉めないようになんだよ。

父さんは、とにかく兄さんたちと僕達母子の不仲のことを心配してくれててね。

いろんな面で、手を打ってくれてるんだ。

君との結婚のことだって、きっとそうだと思うよ。」


「そうなんですか…」


適当な相槌を打ったけど…

結婚が何か、柊司さんの役に立つのかな?

なかなか結婚しなかったら、世間体が悪いからじゃないのかな?

柊司さんが女性を愛せないってことは、いくらなんでもご両親が知らないはずはないよね。

なんたって、うちのお父さんが知ってるくらいだもんね。

とりあえず、偽装結婚をさせることで世間を欺くことが出来るわけだけど、それ以外にも何かある??

私には、特に思い当たることはないけれど…




「さっきも言った通り、兄たちは実家には滅多に来ないし、僕の家にはいまだかつて来たことがないから、あんまり気にすることはないけどね。

ただ、両親の前でだけ、兄たちの話をしないでいてくれたらそれで良い。

勝手なこと言ってごめんね。」


「はい、わかりました。」

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