第26話

「あれ?どうかしたの?」


「い、いえ…別に……」


思わずにやけてしまった顔を、なんとか元に戻す。




「そういえば…ずっと気になってたんだけど、なんで敬語なの?」


「え?」


なんで?って訊かれて、すぐに返事出来る程、明確な答えはないよ。

実際、年は私の方が3つ上だし、それを考えればきっと不思議にも思うよね。

なんでかわからないけど、柊司さんには自然と敬語になるんだよね。




う~ん…

あ…そうだ。きっと、柊司さんは、私にとっては王子様みたいな人だからだね、きっと。

だって、柊司さんはお金持ちで、社長さんで、その上、文句のつけようがない程のイケメン…

それを考えたら、そりゃあ、へりくだる気持ちにもなるよ。




「まぁ、君がその方が話しやすいなら、それでも良いんだけど…」


「あ…あはは。

そ、そのうち、変わっていくと思います。」


「うん、そうだよね。

僕達、まだ結婚して間がないんだもんね。

変なこと言ってごめんね。」


えーーーっ!

なぜ、謝るんですか!?

あなたが謝ることなんて、ひとつもないのに…

しかも、私が年上ってことも一言も言わなかった。

本当に、柊司さんって、どこまでデキた人なんだろう!?

ますます敬語で話したくなってしまうよ。

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