第20話
「いたーーーい!」
私は、大きな声を出してしまった。
「え?ど、どうかしたの?」
「え…えっと…な、なんでもないんです。」
「……面白い子だね。」
(わぁぁ~……)
あぁ、なんて素敵な笑顔…!まさに天使の微笑みだね。
何度見ても、新鮮な喜びがあるよ。
それに、柊司さんって本当に穏やか。
だから、一緒にいてもリラックス出来るんだよねぇ…
今みたいに失敗しても、叱られることないもんなぁ。
お母さんも言ってた。
柊司さんは、絶対に良い人だって。
長年、客商売をして来たから、人を見る目はあるんだって。
穏やかだし、優しいし、気配りも出来る良い人だって。
確かに、友達も多いみたい。
招待客がかなり多かった。
それも、会社の人が仕方なく来てるような感じじゃなくて、親密な感じだったし、同性の人の方が多かったんだよね。
このルックスだから、女性にはモテると思うんだけど、女性も取り巻きみたいな感じじゃなかったもんなぁ…
考えれば考える程、今の状況が夢みたいに思える。
私…どうしてこんなに素敵な人と結婚出来たんだろう?
*
(やっぱり広いなぁ…)
キングサイズのベッドは、一人には広過ぎる。
大の字になっても、まだまだ余裕だもん。
でも…こうなることは最初からわかってたこと。
柊司さんは、女性を愛せない…
そうだ!『女性』を愛せないんだ。
私のことが嫌いなわけじゃない。
だから、悲観することはないよね。
(良かった~……)
柊司さん、私のこと、どう思ってるのかな?
いくら、お父さんが80歳になるまでに結婚しないといけないからって言っても、誰でも良いわけじゃないよね?
嫌いなら、きっと結婚しないよね?
異性として愛せなくても、人としても好き嫌いはあるはずだもんね。
もし、私のことが大嫌いだったら、いくらなんでもあんなに優しくはしてくれないよね?
ってことは、人としては、それなりに好かれてるってことだし、それってやっぱり幸せなことだよね。
寝室にひとりぼっちなことくらい、悲しむようなことじゃないよね?
うん、こんな素敵な部屋だし、明日からはヨーロッパ一周のハネムーン。
きっと豪華な旅行になるだろうね…
そんなことを考えながら、私はいつしか夢の世界に旅立っていた。
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