第19話

今日までの間、いろんな用で柊司さんには会ったけど、柊司さんって本当に頭が良いんだよね。

今みたいな感じで、私が説明しなくてもなんでもわかるみたい。

きっと、仕事も良く出来るんだろうね。

それに、本当に優しい。

感情的になることがないし、良く笑う。

顔が綺麗な人は、性格に難がある場合が多いと思ってたけど、柊司さんには悪いところがどこにもない。

親孝行でもあるし、真面目だけど冗談も言うし…

今のところ、おかしな癖もなさそう。

こんな完璧な人がこの世にいたなんて…

そして、私と結婚したなんて、今でもなんだか信じられない気分だ。




「あ、こっち来てごらんよ。

夜景がすごく綺麗だよ。」


「は、はい!」


手招きされて、広いバルコニーに出てみれば、そこはまさに光の宝石箱。




「綺麗だね。」


「はい、とっても…」


「寒くない?」


「はい、大丈夫です。」




もう~、そんなに気を遣わないでよ。

優しすぎて、ますます好きになってしまう。




夜景を眺めていたら、ふとおかしな気分になった。

こんな素敵なイケメンと、こんな素晴らしいスイートルームにいて、のんびり夜景を見てるなんて…

これって、もしかして長い長い夢なんじゃないだろうか?

だって…私、ごく普通の子だよ。

知能も見た目も極めて普通。

今まで特別良いこともなかった。

一番良いことは、5000円のクオカードが懸賞で当たったことくらいかな。

そんな私が、どうしてこんな素敵な人と結婚して、一緒に夜景なんて見てるんだろう?

私は、無意識にほっぺたをひねりあげた。

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