第12話

「し、篠田、せ、芹香でございます。」


「可愛いお嬢さんだな。」


そう言ったのは、白髪頭のおじいちゃん。

あれ?どうしておじいちゃんが?

お父さんは来てないの?




「本当に、明るそうで素敵なお嬢様ですわ。」


今度は、おじいちゃんの隣の女性がそう言った。

上品で綺麗な女性だ。

多分、柊司さんのお母さんだと思う。

柊司さんは、美人のお母さんのDNAをたくさん受け継いだんだね。




「失礼致します。」




いろいろ考えてるうちに、お料理が運ばれて来て…

このお店に相応しい、いかにも高級なお料理だったけど、私は、柊司さんのことでもう頭がいっぱいで…

味も何もかもよくわからない。

それどころか、何を話してるかももはや上の空で…




「では、私たちはここでお茶でも飲んでるから、柊司、芹香さんと少し散歩でもして来なさい。」


「はい、お父様。」




(……ん?今、『お父様』って言った?)




「じゃあ、芹香さん…行きましょうか。」


「え?あ、は、はいっ!」




私は、言われるままに、柊司さんについて行った。

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