第10話

いかにも格式の高そうな料亭だ。

やっぱり、着物を着て来て正解だったかも。




仲居さんに付いて、長い廊下を歩いて行って…




「こちらのお部屋でございます。」




仲居さんが腰を下ろし、襖を開けてくれた。

この中に、あの人がいる…!

そう思うと、私はもう卒倒しそうだった。




気になって見たくてたまらなくて…

でも、怖くて顔が上げられない。

私たちは促されるままに部屋の中に入り、席に着いた。




「本日は、どうぞよろしくお願いします。」


お父さんがそう言って頭を下げ、お母さんと私もそれに倣った。

そして、頭を上げた時…




私の目の前には『あの人』がいた。




私の恋い焦がれる写真の中の『あの人』が……




私の心臓は、激しく脈打った。




あり得ない!

これは夢?

それとも幻覚?

あの写真は、『奇跡の一枚』じゃなかったの?




なのに、今、私の目の前にはあの写真通りの…

いや、なんなら美しさ30%増しのあの人がいる。




やっぱりおかしい。

ソジュン級のイケメンは、一般人にはいないはずなのに…

私は、ほっぺたを思いっきりつねった。




「いたーーーい!」




大声を出してしまった私に、その場のみんなの視線が集まった。

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