第7話




「まったくもう信じられない!

人が良いのもたいがいにして下さいよ。

実の娘に、そんなお見合い話を持って来るなんて……

それに、芹香…あんたもあんたよ。

なんで、そんなお見合いをするっていうの!?」


しばらくしてから、お母さんと妹が帰って来て…

お見合いの話で、お母さんは酷く憤慨していた。




「そりゃあまぁ、確かに訳ありだ。

だけど、女性に興味がないこと以外は、すべてが完璧と言って良い程の人物なんだぞ。

しかも、芹香はお前も知ってる通り、とんでもない面食いだ。

そんなことばかり言っていたら、結婚なんて出来る道理がない。

僕達だって、いつまでも芹香の傍にいてやることは出来ないんだぞ。

芹香が将来一人ぼっちになって、寂しく孤独死なんてことになったら、その方が辛いじゃないか。」




おいおい…野垂れ死にの次は孤独死ですか。

お父さん、私のことを一体どんな風に思ってんのよ。




お父さんの話に、お母さんは何かを考えるようにしばらく黙ってて…




「言われてみれば確かにそうね。

たとえ、ただの同居人だとしても、誰かが傍にいてくれた方が良いかもしれないわね。

でも、問題はお相手の人間性ね。」


「その点なら大丈夫だと思う。

会長も穏やかで良い評判の人だし、息子のことで悪い噂を聞いたこともない。」


「そこは、やっぱり会ってみないとわからないわね。

私の目は誤魔化せないわよ。

だてに長い間客商売やって来たわけじゃないんですからね。」


結局、二人とも、私のことを一生涯独身だと思ってたわけね。

それは酷いけど、私のことを想ってくれてるのも本当みたいだから、文句は言えないか。

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