第3話




「お、お見合い…!?」


あまりの衝撃に、食べていた生姜焼きが喉に詰まり、慌ててお茶を流し込む。




「……そんなに驚くことはないだろう。おまえだって、もう結婚しておかしくない年だ…っていうよりも、遅いくらいだな。」


「そ、そんなことないわよ!最近は、全体的に晩婚になってるの。

昔とは違うんだから…」


「でも、おまえも今年で35歳…今年からは、四捨五入したら40になるんだぞ。」


「えっ!?」




40…それはけっこう気の滅入る数字だ。

そりゃあ、確かにお父さんの言う通りかもしれない。

35を四捨五入したら、40になるよ。

だけど、なんでわざわざ四捨五入になんてするわけ?

35は35のままで、そっとしといてほしいわ。

それに、誕生日にはまだちょっとあるから、今なら私は四捨五入で30なのよ!?




「いや、この際だから正直に言おう。

僕は、おまえが行き遅れようが、行きそびれようが、それはそれで良いと思っていた。

なんせ、おまえは異常な程の面食いだ。

それが直らない限りは、幸せな結婚なんて無理だと思っているからな。

実を言うと、今回の見合いは訳ありなんだ。」


「訳あり…?」


お父さんは、ゆっくりと深く頷く。

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