第51話

「腹が減っただろうが、あと少しの辛抱だ。

もう少し先に行けば、ちょっとした町があるから。」


「はい。」




確かにお腹はものすごくすいてたけど、今、ここになにもないことはわかってる。

子供じゃないんだから、駄々をこねるわけにはいかない。

我慢しなきゃ。




「じゃあ、行こうか。」


私達は、さらに南に向かって歩き始めた。




私達が逃げたことをもう奴らはきっと気付いているだろう。

ぐずぐずはしていられない。




だけど、そんなことを忘れるくらい、なんだかのんびりした雰囲気だった。

それは、マリウスさんが明るいせいかもしれない。

よく笑うし、冗談も言う。




その笑顔を見ていたら、なんだか急に小林さんを思い出した。

マリウスさんの方がイケメンだけど、笑顔が可愛いところが小林さんに似てるのかも…




「ところで、あんた達…南のどこに行くつもりなんだ?」


「え?それは……」


フェルナンさんは言葉に詰まり、黙り込んだ。




「……訳ありってことか?」


フェルナンさんは、顔を上げ、マリウスさんをみつめた。




「図星って顔だな。」


「……まぁ、そういうことだ。」


フェルナンさんは苦笑し、小さく肩をすくめた。

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