第50話




(え……?)




目が覚めた部屋は見覚えのない場所で…

一瞬、焦ったけど、すぐに昨夜のことを思い出し、慌てて起き上がった。




「やっと起きて来たか。」




居間のような部屋に、フェルナンさんと見知らぬ男性が向かい合わせに座ってた。




「おはよう。」


男性のその声には、聞き覚えがあった。




マリウスさんだ…!

昨夜は薄暗くて良くわからなかったけど…マリウスさん、こんなイケメンだったんだ…!

フェルナンさんとタイプは違うけど、二人共、なんて格好良いの!?




「……サキ、どうかしたのか?」


「え?い、いえ…」


「とにかく、外の小川で顔を洗って来い。」


「は、はいっ!」




私は言われるままに、外に飛び出した。

小川はすぐに見つかった。

パッと見た所、あたりには民家がない。

もしかしたら、ここは町のはずれなのかもしれない。




それにしても、マリウスさんがあんなに素敵な人だったとは…

彼の顔を思い出すと、自然と顔が綻んでしまう。




こんな時に、お化粧やおしゃれが出来ないのは本当に辛い。

って、悪い奴らに追われてるっていうのに、そんな暢気なこと考えてる場合じゃない!?

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