第49話

「とりあえず、町の方へ行こう。

空き家が何軒もある。」




私もフェルナンさんも何の返事もしていないのに、マリウスさんは先頭を切って歩き出した。

マリウスさんは、ガザンについても詳しそうだ。

そういう人がいてくれたら…

武器も扱えるのなら、なにかと助かるような気もするし。

フェルナンさんも何も言わない所をみると、私と同じ考えなんじゃないかな。




しばらく歩くと、町のような所に着いた。

民家は何軒かあるけど、どこにも明かりはついてない。

マリウスさんは、静かな町の中をずんずん歩いて行く。




「おい、どうするつもりだ?空き家に入らないのか?」


「馬鹿言え。

こんな所にいたら、さっきの悪党共にまた捕まっちまう。」


「あ……」




確かにそうだ。

こんな近くにいたら、すぐにみつかってしまう。




結局、その晩はずっと歩き詰めだった。

途中からはもう感覚もなにもなく、足だけが勝手に動いてるような感じだった。




やがて、どこなのかもわからない町の空き家にお邪魔して、私は泥のように眠った。

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