第48話

「静かにな……」


マリウスさんの言葉に、私達は頷く。




地下には、見張りさえいなかった。

明かりがないから、あたりに注意をしながら、少しずつ歩く。

マリウスさんは、この城のことを割と知ってるのか、迷いもせずに進んで行く。

しばらく進むと、男達の笑い声が聞こえた。




「奴ら、玉座の間を使ってるみたいだな。

王にでもなったつもりか…」




マリウスさんの呟きに、私は小さく頷いた。




城を出るのは、思ってたよりもずっと簡単なことだった。

あまりにもスムーズで、何か裏があるんじゃないかって思った程だ。




「ここから、ジャミアの方に行った方が良いな。」


「いや、私達は南に進みたいんだ。」


「なぜだ?ジャミアの方に進んだ方が安全だぜ。」


「それはわかってる。

でも、私達は南に用があるんだ。」


「そうか……

じゃあ、俺も一緒に行こう。」


「えっ!?」

「えっ!?」


私とフェルナンさんの声が重なった。




「どうして、君が?」


「俺は、別にあてのある旅をしてるわけじゃない。

牢屋で知り合ったのも何かの縁だ。

一緒に行っても良いじゃないか。

それに、俺と一緒だと何かと便利なこともあると思うぜ。

これでも、一応、武器が扱えるからな。」


マリウスさんはそう言って微笑んだ。

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