第42話

「今から発つんじゃ、どこまで行けるかわからないが、この町にいるのも危険だと思う。

だから、とにかく急ごう。」




あんなに賑やかだった商店街は、大半の店が片付けられていて、とても静かになっていた。

人の数もだいぶ少ない。

もうこの町に追っ手はいないとは思いつつも、でも、まだ怖くてあたりをきょろきょろしてしまう。




私達は、来た時には通らなかった道を進み、そこに続く細い道を南に向かって歩いて行った。

あたりはいつの間にか暗くなっていた。

フェルナンさんはランプに火を灯した。




「どこか、泊まれる村でもあれば良いんだが…」


「……そうですね。」




そういえば、お昼以来、何も食べてない。

でも、あんなことがあったからか、お腹もすかない。

体力的にも相当疲れてるはずだけど、疲れ過ぎたのか、神経が高ぶってるからなのか、なんだかよくわからない。




「あ…フェルナンさん…ここって、なんて国なんですか?」


不意に頭に浮かんだ質問を、フェルナンさんに訊ねた。




「何?そんなことも忘れたのか?」


「は、はい。」


「ここは、ジュミナだ。気候も穏やかだし、資源も豊富でとても暮らしやすい国だ。」


「ジュミナ……」


もちろん、それは聞き覚えのない国名だ。

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