逃亡の果てに

第41話

「……一旦、町に戻ろう。」


「町へ?ど、どうしてですか?」


「こっちの道は、危険だ。

だが、街道にも奴らの仲間がいるかもしれない。

だから、南下しようと思う。」


「南下…?で、では、家には戻らないんですか?」


「そういうことになるな。」


なんだか大変なことになって来た。

でも、フェルナンさんの言う通りかもしれない。

ランダスの村で聞き込みでもされれば、フェルナンさんの家は容易にバレてしまう。

だったら、もうあの家は捨てて、どこかに行くべきだろう。

幸い、特別大事なものはあそこにはないから、特に未練はないけれど…




「この先は、どんな町があるんですか?」


「それが…私は、ここより南には行ったことがないから、詳しいことは知らないんだ。」


「そうなんですか。どこかに地図は売ってないんですか?」


「地図…?そんなもの高くてとても買えるもんじゃない。」


「そ、そうなんですね。」


スマホさえあれば、どこのことだってすぐに調べられる私達の世界とは、本当に違う。

地図ももしかしたら手描きなのかな?

印刷なんて技術もまだなさそうだもの…

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