第3話 過去と秘密



俺は、その静かなる中華街を歩いた。

琴の音以外がならない中華街を歩いた。

そんな時、、俺の前に一つの女性が現れた。



マルア「え」



そいつは、俺を見た瞬間そんな言葉を発した。

今は異端炸裂。

そいつが怪物かもしれない。

この前提を俺は頭に置きながら、そいつと対面するのだった。



月 「、、?」


マルア「あ、ごめん。ついうっかり。」



そいつは、急に笑顔になった。

なんだと言うのか。




マルア「貴方は?」


月 「能力者」


マルア「いや、そうじゃなくて、、」


月 「桜川」


マルア「桜川か、、初めて聞くな、、」


マルア「私はマルア。よろしくね、桜!!」


月 「桜??」


マルア「いや、、桜川って長いから。」


月 「なんでもいいが、」


マルア「怪物、、どこか知ってる?」


月 「知ってどうする」


マルア「え?いや殺すけどw」


月 「、、、」





そうだ。

ここは異端炸裂。

こんな奴がザラにいる。いや、居ないことの方が珍しいとまで言える。

俺は、そっと指を指した。





マルア「、、?」


月 「後ろ。」




すると、マルアは驚いたように後ろを振り返った。

その瞬間、俺は、、






月 「人と人の殺し合いがあることも忘れるな」



マルアのみぞおちに拳を突き立てていた。

そして、マルアは嗚咽を吐きながら、気絶した。




月 「こんな弱い能力者でも、この異端炸裂に出られるのか、、」




関心の声を上げながら、また屋根の上に飛び乗った。























神化「え?久々亜って、従者なの??」



久々亜は、歩きながら、その男君と話していた。




久々亜「そうだけど、、」


神化 「へぇー!それは凄いね!!」


久々亜「凄くなんかない、、ただ、、そんな運命があったって言うだけ。」




神化は、久々亜より1歩前に出た。




神化 「君は、、何があったの?」





その顔は、久々亜を驚かせた。

今まで見た事がない。

ここまで、、、笑顔でものを言う人は。





久々亜「私は、、、」




久々亜も、下を向いて微笑んだ。

だって、その思い出は、、良くもあり、悪くもあったのだから。








久々亜「私は、、、、」


久々亜「この中華街で、ずっと三味線を弾いていました。」



久々亜「、、、w」







私は、、この中華街で売られる予定だった。

いや、売られたのだ。

まだ幼少期の頃、、ずっと、、聞こえる三味線だけを、、暗すぎるあの窓しかない部屋でずっと聞いていた。





久々亜「今日は、、、音、、、ならないのかな」





まだ、、幼かった私は、その時に居たその店の人の言いなりになるしか無かった。

何も考えられることが出来なくて、ただ、、逆らって殴られるのが怖くって。

ただ、、泣いていた。

そんな時、この中華街の表に立たされた。




店主「おい、、客集めてこい」



久々亜「、、、」



初めて見たその景色に、、とても驚いた。

ただ、、沢山の人が三味線を弾いている中で、唯一私の目にとまったのは、、紅葉様の弾いている姿だけ。

その音は、、いつも聞いていたあの音と同じすぎて、、





店主「ほら!さっさと行け!」







そうして、、背中を押されて転んでしまった時でさえ、、、ずっと、、ずっと紅葉様のことしか目に入ってこなかった。

もう、、この人達とも終わりになる。

もうすぐ、、売られてどこかに行ってしまうから。

そんなことは、、幼少期の久々亜にも分かっていて、、

紅葉様の音を、、、ずっと覚えることにした。




そして、、売られた私は、、その場でずっと三味線を握らされていた。

唯一の救いだった、、紅葉様が弾いていた三味線と同じ楽器が弾けるのは、、。

でも、、、やっぱり、あの音にはならなくて。

お面をつけても。

簪をつけても。

同じ音を弾こうとしても。

あの音にはならなくて。



久々亜「こんなのじゃない。」


久々亜「私が、あの時聞いたあの音は、もっと、、もっと!」



そんな時、、、一つの声が私の前でした。




紅葉 「この子は?」


久々亜「え?」





店主 「あぁー、どうもすみません。」


店主 「こいつはあまり出来が宜しくないと思われますが、、、」






幼少期の私は、、その目の前にいるお面をつけた人があのずっと聞いていた音を弾いていた人とは知らなくて。

音しか、、、覚えることが精一杯で。





紅葉「構いません、、、」


店主「あぁ、、ありがとうございます!」






そして、、私は、、紅葉様に救われることになった。

いつもなら、、買われた瞬間から、思い通りにならなかったら何をさせるか分からないくらい、冷たかった。

だけど、、、紅葉様は、






紅葉 「三味線ですか?」


久々亜「え、?」


紅葉 「、、、w」



そう言って、私から三味線を優しく取って、弾いてくれた。

そう。あの音だった。

やっと、理解出来た。

あの、、あの音で、、、。

涙が、、止まらなかった。





久々亜「、、、!?」


紅葉 「もう、、貴方は自由になれます。」


久々亜「え、、?で、も、、買われて、、」


紅葉 「、、、w」



大丈夫。



そんなことを、、言われた気がした。

そして、、、すぐ去ろうとしてしまう紅葉様の後ろをその時はずっと眺めていて。

でも、、やっぱり。




紅葉「、、、?」


久々亜「一緒に、、連れて行って。」


紅葉「ですが、、、、、、」


久々亜「貴方じゃないと、、、いや。」






無理やり、、、紅葉様の後を着いて行った。








紅葉「私と一緒で、、、、後悔、、致しませんか?」


久々亜「しない、、。私は、、貴方しか居ない。」


紅葉「、、w」



また、、紅葉様は微笑んだ。

お面で何も見れない。みられない。

でも、、やっぱり、声がとても美しくて、少し、、哀しくて。



私は、、、紅葉様について行った。





















そんな時、、彼が言った。


神化「僕は、、君を死なせない。」






急な、、端的なことだった。




神化「、、ww」


神化「僕が守るよ。永遠と。」




久々亜「、、、w」


久々亜「悪いけど、、、お断りです。」


久々亜「、、w」


























そんな時、、中華街の一角。




花魁「貴方は、、、能力者ではありませんが、、特別なのですよ?」


紅葉「はい、、存じています。」


花魁「主催者で、私以外は知りえませんので、、気をつけてくださいね。」


紅葉「、、、」


花魁「あ、それと、、、。」


紅葉「、、?」


花魁「もう、、怪物の正体にはお気づきで?」





紅葉はすっと微笑んだ。











紅葉「ええ、、、もうとっくに、、、、、」












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女神は神に嫌われた。 @y00999099

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