第21話
「大丈夫?彼に何かされたりしてない?」
奥様が心配気な顔で私に駆け寄った。
「大丈夫です。あの方は?」
「そうね。主人と無月さんは天敵同士と言う所かしら。同い年なんだけどね。取り敢えず座ってから話しましょうね。」
奥様ににこりと笑いかけられ慌て頷いた。3人でソファーに移り自己紹介から始めることになった。
「はじめまして
ごめんねと頭を下げられて苦笑した。
「いえ、お二人が来られる前の私たちも凄く雰囲気悪かったですから。」
私はそう言った後、自己紹介をした。
「香織です。よろしくお願いします。養女に迎えて下さって感謝しています。ありがとうございます。」
会ったら『伝えたいこと』をずっと考えてた。だから一気に口にして深くお辞儀したら
「まぁ!」
奥様に複雑な顔をされた。
「あの?」
何か言葉使いを間違えたかな。
不安になってご主人を見たらこちらも複雑な顔で
「あ、あ。ごめんね。
中学生なのにちゃんとした挨拶をされたもんだから戸惑ってるんだ。
その、イメージではもっと子どもっぽい挨拶をされるかなとか思ってたから。」
なんだ。間違えた訳じゃ無かったんだ。良かった。
「そうよね。辛い経験したんだものね。」
奥様の顔は少し歪んでいて何だか気を使わせて申し訳なかった。
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