第7話

「‥‥‥‥」


「‥‥‥‥さい。」


ユサユサと体を揺すられて私は無理やり現実に向き合わされる。


「起きてください。」


聞き覚えのある声は男の人のものだ。

ゆっくりと目を開けた私に安心したのか口許が少し緩む。


「気分は如何ですか。お食事を取らせるように旦那様からいいつかっております。」


にっこり笑いながら、私に向かって丁寧な口を聞くこの人は確か上城かみじょうと呼ばれていた。私に「見苦しい」と言った男。

旦那様とは私に舌打ちした綺麗な男だろう。


「どうしました。私の言葉がわかりませんか。」


ぼんやりしてる私に焦るように話しかける。私の事を軽蔑してるだろうにどうしてこんなに丁寧な口を聞くのか。


「食欲ありません。」


私の素っ気ない返事に顔が歪んだ。


「先日の私の発言を怒ってらっしゃるのでしたら謝罪致します。

お嬢様はあの日から二日間眠り続けてらっしゃいました。何か召し上がらないと体が弱ってしまいます。」


あれから二日間も眠ってたのか。軽く驚く。ちょっと熱っぽいけど体の痛みは随分マシになった気もする。

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