第4話

入ってきた女性は多分20代なかばぐらい。綺麗に化粧した美人で彼女を宥めてる男性は多分30才位だ。がっしりした体型の誠実そうな人。

彼女の目がベッドの私を捉えて般若みたいにつり上がった。


…嫌な予感しかしない。


彼の目も私を捉えて信じられない様に目を見開いた。

彼女は固まった彼を押し退けベッドに横たわる私の前にハイヒールの足を運び睨み付ける。


「起きなさいっ!!」


ヒステリックな言葉に弱々しく首を振る。彼女の命令には従えない。

動かそうにも動けないのだ。

飲まされた薬の効き目と凌辱を受けた身体のせいで寝返りを打つのでさえ精一杯だったのだから。

そんな私の態度は彼女の逆鱗に触れたらしく


バサバサッ!!


「‥‥‥っつ!!」


いきなり被っていた上掛けを剥がされた。

素肌に男もののTシャツを着せられてただけの私の体は初対面の男女の前に曝されて

Tシャツの裾が少し捲れ上がって左の太ももにもガーゼが張ってあるのが見えた。

足や腕、襟回りの無数のキスマークに私自身目を見張る。

反応の鈍い体は身を捩る事さえ不可能で一瞬の内に体全てを嘗める様に見られて、


「この泥棒猫っ!!」


彼女の振り上げた手で思い切り頬を打たれた。


パン!!


乾いた音と共に少しだけ起き上がっていた私は頭からベッドに沈んだ。

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