第3話
数えること5つ目の駅で電車を降りた。この辺りは彼の力が及ぶギリギリの場所。
改札から出て直ぐにデパートに直結してて買い物ができる大きな駅だ。
私は目についたショップに飛び込み、体に合いそうなロング丈のワンピースを試着してそのまま値札を外してもらった。
序でに展示してあったサンダルと藤のトートバッグついでに鍔の広い帽子も買って背中まで伸びた金髪を巻き上げ帽子に突っ込んだ。
金髪は嫌い。
でも染め直してる時間は無い。
「お似合いですぅ。
イメチェンですねぇ。」
にこにこと笑うショップのお姉さんは
「序でに簡単エクステします?」
取り出してきたのは栗色の前髪とひと房のストレートヘア。
やったことは無かったけど、金髪が隠れるならと頷いた。
帽子を脱いだ私にショップのお姉さんはぱちんぱちん。と簡単にヘアピンで止まる付け毛をつける。
金髪は改めて帽子に仕舞い栗色の髪ひと房だけを右肩に垂らした。
「かわいい!」
褒められてちらりと鏡を覗くと髪を染める前の自分が映っていた。
「ありがとうございます。」
お金を払い店を出てまっすぐコインロッカーに向かいショップの袋から出したミニワンピと靴。中身を入れ替えたバックを突っ込んだ。
そのままトイレに走りクレンジングで濃い化粧を落とした。
「うん。これで元通り。」
鏡をさっと見てそのまま駅のロータリーに停車してるバスに乗り込んだ。
ほぼ予定通り。
後は途中で一度乗り換えて目的地に向かうだけ。
コツコツ貯めてたお小遣いが殆んど消えたけど目的地までのお金はあるし、
動き出したバスにホッと力を抜くと、
前から見慣れた黒い車が駅に向かって来たのとすれ違った。
「‥‥‥っ!」
バッグか靴もしくはワンピースにGPSがついてた!
私はそっと振り返り駅のロータリーに止まる車を観察した。バスを追う気配は無い。着替えて正解だったということね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます