第2話
裏口に着いてそっと様子を伺うと、2、3人 顔見知りの男達がいるけど
念のために配置されてるだけあって緊張感の欠片も無い。
煙草を吸いながら明後日の方を向いている。
万が一にもこっちを向かないよう祈りながら息を詰めて斎場の外に走り出た。
後はただただ全力疾走。
時間との戦い。
彼が私が消えたのに気付いて探すまで、10分?20分?少しでも遠くまで逃げなくちゃ。
切符を適当に買い入ってきた電車に飛び乗る。斎場の側にある駅の電車の発着時間までは調べてある。
目的地まではまだかなりあるし正直Googleが使えないのは不安だけど
GPSを辿られたら意味がない。
私は人目に付かないようにスマホを座席の下に隠した。
位置情報を飛ばしながら私の目的地から遠く離れた場所まで行って欲しい。
「これも。」
持たされてたZippoのライター。私には必要ない。
シートの奥に押し込んだ。
黒のバッグ。これにもGPSがついてるのかな。紙袋と一緒に持ったバッグに視線を沿わせる。見たってわかんないんだけど。
彼が用意したミニワンピの礼服。黒いフォーマルバッグにハイヒール。
全部脱がなきゃ安心出来ない。
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