第9話
「大丈夫です。すいません。」
赤くなった筈の鼻を右手で隠して謝った。
「いや、それはいいんだが…。」
思い切り心配してる顔で私の顔を覗き込む片瀬さん。
「眼鏡、歪んでねえか。」
眼鏡…。
「ああっ、えっと…多分。」
嘘。何だか視界が少し歪んでる気がする。普段は顔と一体化してるからかけてること直ぐ忘れちゃうんだ。
「大丈夫です。後で眼鏡屋さんでみてもらいますから。」
気にしてもらうのも悪くて笑って言った。私は中学に上がる頃から視力が落ちた。いわゆる仮性近視。今じゃ裸眼で0、1位しかない。
コンタクトにしてる友達は多いけど、怖がりでへたれな私にはムリ!今かけてる眼鏡は赤い縁取りのお気に入りで可愛い眼鏡だ。
よくあるじゃない?眼鏡を取ったら顔が変わって美人さんになる漫画とか。
あれは絶対大袈裟。
わざと顔の形に合わない眼鏡を掛ければ別だけど普通に選んだ眼鏡なら可愛い子はそれなりに可愛い。私は普通だからよく言われるのは
『頭良さそう。』かな。
眼鏡は知的アイテムだと思い知らされる。
ぼんやり考えてたら
「行くぞ眼鏡屋。道案内しろ。」
「へ?」
いきなり片瀬さんに腕を引っ張られた。
ちょっと待って下さいっ。
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