第3話
先に私の気配に気付いたのは茶髪の彼の方で、振り返った彼の目は一瞬警戒の色を浮かべた気がした。
茶髪で左耳に二つのピアスを着けた彼は長身で、少し冷たい顔に見えるのはつり上がった目尻のせいかな。クールなイケメン。背も高い。
さっきまで巫女さんに向けていた柔らかい表情が一瞬で消えてしまった。
…残念。
ま、私は巫女さんみたいな美人じゃないから仕方無いか。
彼に軽く会釈して巫女さんに聞いた。
「すいません。受験用の合格祈願のお守りを頂きたいんですが。」
私の問いかけに巫女さんはにっこり笑い、
「それでしたらこちらになります。」
400円~1000円位まで三種類のお守りを見せてくれた。三種類…霊験あらたかなのってどれだろ。
「あの、ネットで騒がれたお守りってどれでしょう。」
巫女さんに聞いたら
「彼氏にあげるのね。」
にこやかに何故か断定された。
「いえ、学校の先輩です。」
「あら、じゃ渡して告白するのね。」
「…告白ですか?まさか!!」
部長に恋愛感情とか皆無だし、たいして興味も無い。第一あんな軽そうな男なんか絶対に御免だ。
それにしてもバレンタインのチョコじゃあるまいし何で告白するのよ。
何故か巫女さんと話が噛み合わない。
彼女も戸惑った顔してるし。私も…困った。
そんな私たちに助け船を出してくれた人が
「ネットで騒がれたのはその800円のヤツ。
ちなみにそれは『好きな異性に渡すと恋が叶うお守り』として有名だから。」
私のとなりに立つ長身で茶髪の男。
って…
「ええ~っ!なんで?ソレ学業のお守りですよねっ。」
私の声が朝の境内に響いた。
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