第8話

頼可と並んでゆっくりと階段を下りる。


「もうちょっとリハビリ頑張らないとな。」


頼可が足下を見て呟いた。

土曜日に掛かり付けの先生に診てもらって土日はリハビリを頑張ってる頼可。


「凄い回復力だよ。頑張りすぎなくらいでしょ。」


私が笑うと頼可は顔をしかめる。

足、痛いのかな。頼可の左足の傷を見せてもらった事がある私。

と言っても夏場に短パンになったときに見えちゃったんだけどね。

結構大きな縫い痕と抉れたみたいな深い傷。交通事故って怖い。


「そんな顔しない。痛いんじゃないから。」


頼可に優しく頭を撫でられた。


「そうなの?でも何か痛そうな顔に見えたんだけど。」


「ははっ。違うよ。ただもうちょっと直さないとさっきみたいな事に出くわした時に悔しいから。」


さっきみたいな?

先輩に絡まれた事かな。でももう解決したし


「あんな事何度もないから無理しなくて大丈夫だよ。」


頼可が完全回復したらモテモテになりそうで怖いし。


「無自覚。」


「へ?」


ボソリと呟いた頼可の声が聞き取れなくて首をかしげた。

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