第6話
声に驚いて顔を上げた。
頼可の手を引いて逃げようと思ってたのに…声を上げたのは先輩の方で、
「ら、頼可?」
背の高い先輩の手を頼可が捻り上げて背中に押し付けてる。
いつの間にこんなことになってるの?!
「真由加。」
頼可の声は冷静ででも私の方は意外な展開にすっかりパニクってた。頼可に呼ばれてあわてて返事をする。
先生を呼んできた方がいいよね。
「はいっ!」
「離れてて。危ない。」
「…は?」
それって…勢いで押さえ付けたものの限界が近い。先輩が暴れたら危ないから離れろって事?
「でも、頼可が…」
「大丈夫。」
いいから離れてと重ねて言われてしぶしぶドアの近くまで離れて様子を伺う。どうやら頼可は先輩と話してるみたい。頷いた先輩の手を離す頼可。
何事も無かった様に私の隣に立つ。
「本はいいの?」
私は頼可の質問に頭をブンブン横に振る。本なんか借りなくていい。
「先輩は?」
チラリと伊藤先輩の様子を伺うと手首を気にしながらこっちを見ていた。
「大丈夫。もう真由加には近付かない。初めて振られたからムキになってアプローチしてたんだってさ。」
「ああ。納得。」
先輩モテるし私なんかに告白を断られて気を悪くしたんだね。
うんうん。と頷くと
「なんで納得するかな。」
頼可に苦笑いされた。
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