第3話
「ごめん。今いく。」
立ち止まる頼可の横に駆けていく。左足が悪いくせに必ず私の鞄も持つ頼可。治療中だから体育の授業は全部見学。お医者様の診断書付きなんだけどもともと頼可は運動神経が良いんだと思う。
私の隣で足を引き摺りながらもそれなりの早さで階段を登る頼可を見ると、体育の授業で全力疾走する頼可を見てみたいと思っちゃう。
また足を止めて妄想する私を見て頼可が呆れた。
「真由加。ぼんやりして階段から落ちたらさすがに支え切れないから。」
ごめんなさい。せっせと階段登りますっ。やがて4階の図書室にたどり着く。息切れしてる私の隣で頼可は平然としてるし。
「やっぱり頼可は基礎体力あるんだ。」
芯太や立彦に付き合ってもらった時は息切れまではいかなかったけど、あの二人もうんざりした顔をしてたし。
「ん?何か言った?」
振り返る頼可を笑って誤魔化した。
頼可はあまりめだたないけど成績も良いし運動が出来れば凄く目立つと思う。器用だし。足を怪我して長期入院中、退屈でお祖母ちゃんから編み物を教わった頼可。すっかり才能が開花して私に編んでくれた白のマフラーは既製品みたいだ。きっと足が治ったらモテるんだろうな。私なんか相手にされなくなるかも。
「また考え事。ほら、図書室入るよ。」
頼可は苦笑いして私より先に図書室に入った。
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