第8話

「へぇ。美人だな。スタイルも良いしあんたモデルかなんかか。」


なんだか偉そうに言われて眉間にシワが寄る。


「誰れ。」


つんとした声を出して聞いたら


「ライ。皆そう呼ぶ。」


「…ライ?」


名字と言うより名前かな。


「早瀬組の人?」


「まあ。下っ派だけど。」


下っ派?確かに若いけど、

さっきのジャガイモ達より余程貫禄があるのに。


「さっきのジャガ…いや、鈴城温大さんの部下…なの?見えないけど。」


「ふはっ!!あんた今ジャガイモって言いかけたろ!それ絶対言うなよ。美人でも殴るやつだし。」


笑いながら言われたけど笑えないし!

あのジャガイモ。女の子に手を上げるのかサイテーだ。ムッとした顔になった私に


「欲しいものあるか。面倒みるように言われたんだけど。」


ライはダルそうに私に言った。

黒のTシャツにジーンズ。さっきのザ、ヤクザの二人より余程馴染み易い。ライは背はそんなに高くないけど鍛えてるらしく筋肉質な体がTシャツ越しにもわかった。

二十歳くらいかな。


「欲しいものなら鏡と湿布と食べ物と飲みもの。無理だろうけど持ってたトートバックの中にスマホがあったんだけど。一番欲しいのはそれ!」


首をかしげて遠慮なく言ってみた。


「はははっ。厚かましいのか素直なのか。物怖じしねえな。」


ライは楽しそうに言った。欲しいのは?と聞かれたから素直に答えたのに。


「鏡ってなんだよ。カーテン開けりゃ顔くらい写るぞ。」


ライはやっぱりがさつなヤクザだった。

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