第7話
バタン!と閉まったドアにこっそり悪態をつく。
「お茶とかお茶菓子くらい出してよ。」
夜中のオヤツは美容に良くないけど、こんなときは糖分補給して頭をクリアにしておきたい。
「なんか小腹も空いたし首を冷やす湿布とかも欲しいんだけどなぁ。」
そっと立ち上がりドアのノブを静かに回してみたけど当然鍵が掛かってて開かないし。がらんとした部屋にはソファー位しか家具もない。
間抜けなジャガイモの癖にこんなところはきっちりしてるのが腹立つしっ!
カーテンのかかった窓を調べたら、しっかり外からアルミの柵が取り付けてあるし。本来泥棒避けだけどこの場合は私が逃げないように檻の役目になってる。
だいたい
「ここ何処よ?」
外灯がポツンと一つ。
外は真っ暗。
耳を澄ませば波音みたいのが聞こえるんですけどっ!!
私が住んでた都会じゃあり得ない。
海なんて無かったし窓の外には派手な夜景が広がって空に星も見えなかった。
「プラネタリウムか。」
めちゃくちゃ綺麗な星空が広がっていてなんだか泣きそうになった。
「きっと早瀬組のテリトリーに連れて来られたんだろうな。」
北陸だとは聞いたけどはっきりした場所も知らないし…スマホで検索しようにも持ってたトートバックが見当たらないし。
「鞄くらい返しなさいよ。泥棒ジャガイモズ!」
悪態をついたらドアがいきなり開いた。
「…!」
入って来たのは若い男が一人。
ジャガイモじゃないけど…
精悍な顔立ちはもっと危険な獣っぽい。イケメンかと聞かれたら微妙だけど。力のある眼はさっきの二人より断然魅力的だ。
一定の距離を開けて男と睨み合った。
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