第6話
ジャガイモ二人の長くて回りくどい話を要約すると私が久世一心のフリをして組員の前に立ち
『自分に何か有ったら後は鈴城温大に任せる。』
みたいな話をして欲しいと言うことだった。素直に言って良いだろうか。
『馬鹿なんじゃないの!』
いくら兄と姿形がそっくりでも声やイントネーションが違うでしょ!
だいたい跡目を狙うならもっと前から地味に根回しして何か有ったら直ぐに取って替われる様にしておくべきでしょ!
普段からボケッとしてるから何かあった時にこんなバカみたいな拉致騒ぎをおこす羽目に成るんだし!
私のことだって。無理に拉致られて大人しく言うことを聞くなんて…随分舐めてくれるじゃない!ぶっちゃけ早瀬組の奴らなんて不幸になれば良いとしか思わないし。
捨てられた娘が組の為に動くとかマジで思ってるなら随分オメデタイ。
こんなんで跡目についてもこの二人が頭じゃ早瀬組の行く末は真っ暗だろうな…。まあ私には関係ない。それより
「兄になり代わってそう言ったら家に帰して頂けるんですね。」
早瀬組はどうでも良いが私は家に帰してもらわないと困る。
ママは気ままだし仕事をしても長続きしない。私が生活を支えてるんだもん。
「もちろん。」
「お約束します!」
ジャガイモ二人はニコニコ笑って私の問いに即答した。…嘘だな。
薄っぺらな笑顔の下に悪巧みしてるのが見え見えだ。ただ、嘘だとわかってても頷く以外事態を動かす突破口は無い。油断させて隙をついて逃げる!ヤクザ相手に無謀かもしれないけど。
この二人相手ならなんとかなりそう。
「わかりました。」
どのみちそう返事するしか無かった。
私の返事にジャガイモ二人は喜んで。「早速準備します!」といそいそと部屋から出て行った。
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