第2話

「長谷川組の窮状は聞いてる。お前を愛人にしろと言う話もな。

はっきり言っとくが俺は愛人なんか持つ気はねえ。女子高生なんぞ論外だ。

お前に俺を満足させるだけのテクニックがあるとも思えねえしな。」

優しげな顔立ちに似合わない低い声。


淡々と語られる話の内容はある程度予測していたので驚きはしないけど、


「それは私を愛人にする代わりに長谷川組を助けて下さる気はない…

と言うことでしょうか。」

この事だけはきちんと確認しとかないと。


「有り体に言えば。」

本人にあっさり肯定されれば私にはもう成す術は無い。


「解りました。お邪魔致しました。」

ペコリと頭を下げて部屋を出ようとして思い出した。


「キッチンにカレーとスープ。冷蔵庫にサラダがありますのでお召し上がり下さい。お風呂も湧いてます。お疲れ様でした。」

もう一度頭を下げて玄関に向かい靴を履く。


「おいっ。」

低い声を聞いた気がしたのはたぶん空耳だ。ドアを開けて外に一歩踏み出した。


って…えっ!?

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