第19話

私からサンドイッチのトレイを取り上げた悪魔はいつも私の眠ってるベッドに腰かけた。なんなんだ。思わず仰け反る私。

気にせず私が座る真横にならんで座る桐生仁。

ビックリして怯える私を見て顔をしかめると自分の膝を叩いた。


「来い。」


ええっ!!こ、来い!?どういう意味っ!!

私は桐生の顔を見て、手を見て、膝を見て、ドアの側に立つ強面を見た。

凪砂さぁん!

泣きそうになりながら頭の中で凪砂さんの名前を呼ぶ。

彼は困った顔で苦笑してる。助けてくれそうじゃない。

無意識に首を横に振り後退る私を見た桐生は舌打ちすると私の右足に繋がった鎖を引っ張った。


「ぎゃあっ!!」


じゃらっ!

足から手繰り寄せられた私はあられもない格好で桐生に抱えられそのまま彼の膝の上に横抱きにされた。


「う、…」


ポロポロと涙がこぼれる。

なんでこんなに乱暴に扱われるんだろ。うつ向いて泣いてる私の鼻先にサンドイッチが突きだされた。


「食え。」


食べられるかっ!!

私はフルフルと首を振り拒絶した。


「面倒な奴だな。」


グイと顎を捕まれ上を向かされ、無理やり口を開けさせられた。

い、痛いっ!!

少し開いた口に無理やりサンドイッチを押し込まれた。どんな拷問よ!

渇いた口内に押し込まれたパンが水分を奪って喉を詰まらせる。


「仁さまっ!それでは彼女が窒息死しますっ!!」


苦しくて桐生の胸を叩く私を見かねて凪砂さんが叫んだ。


「あ゛?」


桐生仁は真っ青になった私にようやく気付いてオレンジジュースを口に流し込む。


ごほ、ごほ、ごほ、

咳き込みながら涙を流す私に、


「早く言え!馬鹿。」


桐生仁の罵声が浴びせられる。


「もう、やだ!」

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