第16話

『悪かったな。』


『ごめんなさい。酷いこと言って。』


『まさかそっくりさんだとは思わなくて。直ぐに家に送るよ。』


3人3様に頭を下げてくれて私は大満足。


『わかってくれたら良いんです。』


如何にも怪しい人達だが家に帰してもらえるなら文句はない。

いや、鎖で繋がれたりとか首根っこ掴まれたりとか背中蹴られたりとか、

言いたいことはてんこ盛りだが、

下手に口にして気が変わったら大変だ。


「‥‥」


「‥‥‥‥!」


「おい!」


「…うん?」


自棄に耳元がうるさくて思わず手で払う。まるで蚊を追い払う様に。


ぶん!


振り回した手はあっさり止められ

パシりと手首を捕まれていた。


「‥‥‥」


じわりと右手首にかかる圧力に驚いて目を開けた。


「は?」


目の前には私の手首を掴んだ綺麗なイケメンの顔があった。

夢だったの?え、なんでっ。


「…なにしてんの?」


吐き出した言葉は知性の欠片もない。

どうやらまた私の風邪は治まったらしく気だるい位で、また長い時間寝てた気がする。パジャマ変わってるし。

誰が着替えさせてるのか。

まさかこの変態男?

なんか無気力だ。いつもなら大声で叫んでる筈なのに。

気になることは…


じゃらり。


相変わらず存在する足枷位か。


「ねぇ、人違いなんだから解放してよ。」


いくらイケメンでも足枷付けて監禁するアブノーマルな奴なんてゴメンだ。

さっさと離れるに限る。

それなのにコイツは


「なんの話だ。」


私の言葉を無視した。

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