第15話
「ヤクザの娘の言葉じゃねえな。」
彼の纏う空気がピリッと変わった気がした。ふ、普通に怖いんですけど。
ただ、私は気だるいせいかネジが1本抜けてて、
「貴方こそ。女子高生に足枷するとか変態趣味のヤクザそのものじゃない。」
ぺらぺらと言っちゃいけない言葉を口にする。桐生仁は私の右の足首と鎖を見て口角を上げる。
「まるで犬だな。よく吠える。」
「うるさいわね!こほ、こほっ!」
不味いな。床でうたた寝したからか体が冷えたみたい。
「なんだ。風邪か。」
「悪かったわね!小さな頃から気管支が弱いのよ。」
ぶり返したらしい風邪にコンコンと咳き込む私。桐生は眉をしかめた。
嫌味な奴。
風邪菌をうつしてやりたい!
「ぐえっ!」
いきなり襟首を後ろから捕まれて吊り上げられた。
く、くるしっ!!
ボスッ!
そのままベッドに投げられる。
ごほごほと咳き込むと涙が流れる。
鼻打ったし。
コイツマジで悪魔だ!
「いったぁ…!」
首根っこ掴むとか!私は猫じゃない。
「大人しく寝てねえからだろ!馬鹿が。」
ムッかぁ!!
「監禁されてご飯ももらえない。訳はわからない!誰が大人しく捕まってるもんですかッ!
こほ、こほ、こほっ!」
「訳がわからねえだと?」
「わからないわよ!言ってるでしょう!」
耳悪いのか。イケメンなのに残念な奴。
「お前、名前は?」
「三浦乃愛!」
「ああ゛?」
「平成☆年4月2日生まれ。住所は☆県※市*町大字☆3ー4ー5。」
まくし立てる私に桐生仁は唖然としている。そりゃあそうか。
成瀬静香だと思ってるんだから。
「電話番号は(05**)*5-3***。
あんた達は成瀬静香じゃなくて三浦乃愛を捕まえた大間抜けよ!」
ごほ、ごほ、ごほ、と咳き込んだが、言いたいことをやっと言えた私はスッキリした。
「こほ、こほっ、嘘だと思うなら、高校に問い合わせなさいよ。ハッキングすりゃあ私の顔写真が出る筈だし。
市立☆高校1年1組31番。」
取り敢えず言いたいことを言った私は布団にくるまる。
限界だ。また熱が上がりだしたし。
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