第13話
「貴女、本当に覚えて無いの?」
やった。
とにかく話を聞いてもらえそうだ。
「ですから、私は成瀬静香じゃなくて」
「許さないからっ!!」
「はい?」
「私はあんたがしたことを許さないっ。忘れるなんて論外!
死んでも思い出しなさいよっ。」
は…?
足音も荒く彼女は部屋からでて行った。
バタン!!
って!また独りになったんですけどっ。
「何なのよもう!」
聞かされた名前に聞き覚えは無いし。
成瀬静香の個人的な知り合いなら当然なんだけど。
結局、ここがどこなのかよくわからないままだ。
「いやいや、教えてもらえないなら自分で考えなきゃ。」
監禁した人をあてにした私がバカだった。じゃらじゃらと鎖を引き摺って窓辺に向かう。手がかりは景色の中にあるはず。
取り敢えず看板から場所を特定してみよう!
「☆イオンズマンション」
「ホテル☆ンルート」
有名マンションと全国チェーンのホテルだな。なんとか支店とは書いてないの?不親切!
駅名は遠くて読み取れない。JRかなぁ。
ただ、読み取れても場所が特定出来るかはわからない。
なにしろ私は地理は大嫌いで。
いまだに47都道府県の所在地があやふやな場所がある。
「マンション中山手。」
中山手町?
全国にいくつあるのよ。
「あ!☆キヤ!」
「あ!☆クドナルド!」
「☆かいらーく!!」
「餃子の…!」
ぐぅうう。
駄目だ…お腹が空いて食べ物の看板しか目に入らないっ。
窓際にペタンと座り込む。
何で私がこんな目に合うわけ!
「成瀬静香、何とかしてよっ。」
他人とは思えないくらいそっくりさんだけど私も彼女が嫌いになりそうだ。
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