第11話

ベッドに寝転び天井をぼんやり見ていると


ガチャリ。


ドアが開いて女の人が1人入って来た。あわてて起き上がる私。

ノック位してよ。

思わず非難の気持ちを込めて睨めば、


「なんだ。この間と同じ顔してるじゃん。記憶喪失とか嘘でしょ。」


自棄に上から目線。


「失礼ですが…どちら様でしょう?」


首をかしげて疑問を口にした。

私を見る彼女は髪を綺麗に巻いてメイクもしっかり。美人だ。口調はキツいけど。


「あんた神野じんのにもそう言ったらしいわよね。」


「神野さん?焦げ茶色の眼鏡をかけた長髪の方ですか。」


「は!マジで知らないふり?」


「知らないふりではなく知らないんです。」


ホントに知らないし。

なんだか面倒くさくなってきた。


「あんたは事故った成瀬の車から連れてこられた。しかも着ていたカーディガンのポケットには成瀬静香のスマホが入ってたんだけど。」


「‥‥‥」


「それでも成瀬静香じゃないと言い張る訳?」


だって私は三浦乃愛みうらのあだもの。ただ、状況を考えたらどんなに言い張っても信じては貰えそうにない。しかも私は気味悪いくらい静香さんと似てるし。

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