第10話
ふと考える。
静香さんが家に帰っていたとして、私が静香さんとは別人だと知れた場合。
『やあ、悪かったな。』
と、帰してもらえるんだろうか。
さっきの焦げ茶眼鏡に?…無いか。無いな。
逆に『何で言わなかった!』
とか責められて、面倒くさいからこのまま監禁されるとか。
悪くしたら殺されちゃうかも。
何しろ相手は女の子を鎖で繋ぐような変態だ。思考回路なんてどっかおかしいに決まってる。
かといって成瀬静香を演じるのも賢いとはいえない。何しろヤクザのお嬢様なんだし。どこでどんな恨みをかってるかわからない。
じゃあ家に帰った成瀬静香が私を探して助けてくれるかと言えばアテには出来ないだろう。私が捕まってることさえ知らないかも知れない。
どう考えても…
ろくな結末が思い付かない。
溜め息をついてベッドに寝転んだ。
おばあちゃん、私を助けてくれるかなぁ?
私の家族はおばあちゃんだけ。
65才。
私の死んだパパの母親。愛情はそれなりにくれてると思う。でも彼女はそれ以上に仕事人間なのだ。
いわゆるキャリアウーマンのはしり。
今は四国の大学に客員教授として招かれていて単身赴任中。
私は煽りをくって田舎の家に独り暮らし中。月に一度の連絡はつい最近したばかり。
急用でもない限りあと一月は連絡がないはず。
マジでタイミングが悪すぎる。
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