第6話

ぼんやりと目を覚ました。

なんとなく居心地の良い温もりの中。

どうやら熱は下がったらしく少し気だるいが気分は然程悪くない。


こしこしと目をこすり、もぞもぞと起き上がる。

いつの間にか可愛らしいパジャマを着せられている。

下着は…見たことのない薄い青のショーツだけ。


「…どこ?」


なけなしの記憶を辿ると、静香と名乗る女の子と入れかわったことを思い出した。入れ代わった事を話せないまま事故にあって…

少々乱暴に救護されたんだった。

じゃあここは静香さんの部屋?


「違う気がする。」


8畳間位のフローリング。大きな窓にはレースのカーテン。

ベッドが部屋のど真ん中に1つ。

私はまさにそのベッドに寝かされている。

他には何にもない。

いや、有るんだけど、見たくない。


じゃら…。


私の右の足首に足枷と鎖が。

アンクレットなんて可愛いもんじゃない。鎖は3メーター程の長さで隣の部屋にのびてるんですけど。

私、犬扱いされてる?!


「いや、犬扱いならベッドに寝かされたりしないか。」


何気に清潔なシーツだしベッドだって新品っぽい。

レースのカーテンからは日光が差し込んでるけど、時間まではわからない。


朝?昼?午後?


お天気は良さそうだけど、はっきり外の景色が見えないからわからないし。

取り敢えず体のチエックをしてみる。

外傷はないかな。

あ!左膝に青アザ発見!

いつぶつけたんだろう。

熱は下がったけどあの事故の記憶は曖昧。

私を庇った人とか一緒の車に乗ってた人は無事だったのかな。

熱のせいで車の中にいた人の顔も交わしてた会話もあやふやだ。


待遇は悪くない。

じゃあ、この足枷と鎖はなんなの。

静香さんってこんな生活してたのだろうか。


そう言えば『半日で良いから代わって欲しい。』

…みたいな事を言ってたような。

まさか変質者に監禁されてた?

いやいや、それなら警察に駆け込むよね。

ぼんやりと静香さんのことを考えいるとガチャリとドアが開き、1人の男が顔を出した。

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