第3話

駄目だ!熱上がっちゃったよ!幻覚が見える。


「嘘っ。貴女、私にそっくり。」


幻覚が私が考えたのと同じことを言った!髪の長さもほぼ同じでかけたマスクからのぞく顔のパーツもそっくり!

鏡から出てきたの?


「ねえ、私は静香しずか。貴女は?」


静香?なんだ名前は違うんだ。


乃愛のあ。」


「乃愛か。かわいい名前だね。」


にこりと笑う幻覚が歪む。ダメだ。辛い。かくりと首が落ちる。


「ちょっと!辛そうね。」


静香は私に着ていたカーディガンを着せかけた。

あらら。着てるセーラー服まで同じっぽい。スカーフの色が違うんだ。私が赤で彼女は白。


「感謝すべき偶然だわ。」


「静香?」


「ごめんなさい乃愛!」


「…コホ、コホ?」


スルリと私の制服から赤いスカーフが抜かれ、静香の制服に装着される。

静香の制服にあった白いスカーフは私の手に握らされた。


「ごめん!ちょっとだけ代わって。ほんの半日で良いの。」


「ちょ、ごほ、ごほっ!」


静香は私の頭を撫でると体温計を持ち化粧室を出た。

ちょっと、待って!

ふにゃり。

立ち上がりかけ貧血を起こす。駄目だ!熱が上がった。

すとんと座る体が椅子に張り付く。



「あら、三浦さん。大丈夫なの?」


林先生は静香を私と勘違いしてる。

ちょっと!それ幻覚ですっ。

私の叫びは声にならず

霞む意識は高熱の闇に沈んだ。

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