第32話

ショッピングモールのブティックを隅から隅まで堪能する薫。


「一人だとなかなかゆっくり見る事出来ないから。」

そうだね。男子高校生が女性服を一人で見るってなかなか勇気いるから。ネットショッピングは触れ無いし、ブティックの雰囲気が楽しめないから嫌らしい。

しかし薫ってばタフだなぁ。

広いフロアーを連れ回されるのは大変で


「疲れた。」

三時間後、ランチの為入ったファミレスで私はぐったりと椅子に座り込んだ。


「本当に薫ってば買い物好きよね。

付き合ってると体力持たないわよ。」

ため息をつく私に


「ごめんごめん。

由香が一緒だと気を使わなくて済むから楽なんだよ。だから何時も連れ回しちゃってマジで悪いと思ってる。」

本当にすまなそうに言うから怒れないんだよね。


「いいよ。デザートはガトーショコラね。」


「了解。」

私の声に薫は苦笑いを返した。

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