第22話

武藤真緒むとうまお(彼女)と森田由香もりたゆか(私)。


アイウエオ順の席の前後、偶然だけどラッキーだった。こんなに早く友達が出来たし。

真緒と今日の授業の事を話してたら、


「ねえ…。」

話し掛けてきた女の子が一人。真緒をじっと見てるから知り合いかな。


「あんた、私以外の友達いたんだ。」

キツイ言い方に思わず顔をガン見した。

ひとことで言うと『派手な女』。

化粧が華やかラメ入りまくり。ツケマバッサバサ。美人だけど素顔は想像出来ない。

スタイルも抜群。ボンキュッボン。女の子と言うより女って感じ。同じ年だとしたら怖い。

真緒は青くなって固まってるし。

友達と言うわりに凄く見下した感じがする。

彼女が真緒をどう思ってるか解らないけど真緒は彼女に怯えてる。

取り合えず助け舟を出してみる。


「はじめまして。えっと真緒の友達?」

首を傾げて話し掛ければ、彼女は面倒くさそうに私に視線を向けた。


「あんた、誰?」

ムッかあ~!!

何その態度。と思ったけど入学二日目で騒ぎは起こしたく無い。

ぐっと堪えて にっこり笑ってやった。


「森田由香です。真緒の友達。よろしく。」

私は中学生の頃、知らない人から良く美少女だと言われた。

だから、一応自分の容姿は自覚してる。周りの価値観が変わってなければだけどね。

特に笑顔は殺傷能力があるらしい。

だから、私は天然の顔で作り上げた顔を攻撃してみた。


「‥‥っつ。」

彼女は無言で回れ右して自分のクラスに帰って行った。


ほっ。帰ってくれて良かった。

少しは顔に自信はあるけど、美少女なんてあちこちにいる。現に今、目の前で青く為ってる真緒だって美少女だ。

世間は広いし私より美少女なんて、きっとはいて捨てる程いる。それも分かってる。

だから顔だけ見て寄ってくる男の子達はキッパリ振った。


普段はこんな自分の顔自慢する様な事しないんだけど。

今日の私は何故か感情がセーブ出来ない。


「はぁぁっ…」

軽く落ち込んだ。

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