第17話

「桜の樹から落ちた。へえ。つまり、そんな所で寝てた訳なんだ。」

ブリザード並みの冷たい声は勿論、イヤミな貴公子こと才賀先輩で。

この声にさすがの熊先輩(?)も青く為った。


「しゃあねぇだろ。

今日は保健室開いてねえし。式典の最中に眠れねえし。ここなら誰も来ねえし眠れると思ったんだよ。」

この熊先輩、学校に寝に来てるのか。

わたしが首をかしげてると才賀先輩が熊先輩に


「だいたい思慮が足りません。桜の枝は折れやすいんです。自分の体重解ってますか。

もし彼女が下に居たら大怪我してたんですよ。」

一見、私を気遣う優しい先輩。でも意地悪そうな目元で判る。

この人絶対ドSだ!

熊先輩苛めて楽しんでるし。


「あなたもあなたです。わざわざ立ち入り禁止の場所に入り込んで何が目的ですか。」

ひえっ。矛先が私に向けられた。


「ごめんなさい。桜に誘われてつい。」

目的は桜見物だったし素直に謝った。


「そんな言い訳信じるとでも思ってますか。」


「は?」

信じるも何も真実だし。戸惑う私。


「才賀、やめろ。」

熊先輩が助け船をだしてくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る