第18話
熊先輩は才賀先輩を制して座り込む私に
「悪かったな驚かしちまって。」
謝ってくれた。
「大丈夫ですよ。驚いただけで怪我してないし、それに立ち入り禁止の場所に入った私も悪いんですから。」
「良く判ってらっしゃる。」
才賀先輩に言われた。
「‥‥‥」
その上から目線!
超ムカ付くんですけど。
「才賀、らしくねえ。何苛ついてる。」
熊先輩の声に肩を竦める才賀先輩。
「別に。ただ、黒豹と呼ばれてるあなたが女の子の膝枕で眠るなど前代未聞の事態ですから、冷静でいられなくて当然でしょう。」
黒豹…それって、熊先輩の名前かな。
「先輩『黒豹』って呼ばれてるんですか。」
おずおずと聞くと
「知らないんですか。珍しいですね。いくら新入生とは言え、まさかひょっとして『龍王』もご存知ありませんか。」
才賀先輩の言葉に首を振る。
「『龍王』は知ってます。この学校の生徒が殆どを占める『暴走族』ですよね。」
パパが絶対関わるなと言った暴走族。
私の声に才賀先輩が口角を上げ頷いた。
「彼は名の知れた黒豹。『龍王』を率いる総長です。」
唖然とした。黒豹先輩が『龍王』の総長。
さぁ~っと顔が青ざめた。やだ私、膝枕しちゃったよ。思い切り関わったじゃん!不味い。パパにバレたら退学させられちゃう。折角入学出来たのに。
「気分悪いのか。悪かったな。寝惚けて膝枕なんてさせちまって。マジ、大丈夫か。」
黒豹先輩が心配してくれるのは有難いけど、
「だ、大丈夫ですから。」
関わりたくない私は逃げ腰だ。
そんな私を見て才賀先輩が意味ありげに笑った。
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