第15話

伸ばした両足を擦る私に背後に立つ二人が歩み寄り声を掛ける。


「足、痛えの?」

長身を折り曲げ覗き込んでくる仔犬の様な顔。


「痛くないです痺れてるだけですから。時間が経てば治ります。気にしないで下さい。」

心配気に眉を下げる顔が可愛くて、にっこり笑ってしまう。

私より自分は大丈夫なんだろうか。

桜の樹から落ちたよね。


「あのっ…」

彼に体の具合を聞こうとした私の声は冷たい声に遮られる。


「成る程。その笑顔で彼を堕としたんですか。」

なんとも不可解な言葉を掛けられた。


「は…?」

言われた事が理解出来ずにぽかんとしてしまう。

彼をオトス?

いやいや私が樹から落とした訳じゃ無いし。

抗議しようと振り返った私の目の前にいたのは、まるで貴公子みたいなイケメンだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る