第46話

着信  日向ひゅうが 那智なち


「はい。」


匠に着けた面子の1人。


『匠さん、無事松江に着きました。』


「了解。」


『あと、天城さんに伝言が。』


「あ?」


『っ、!!「外の舞子を頼む。」以上報告終わりっす。』


プツン!


「チッ!怯えて切ったな。」


それにしても早速来たか。

弓槻舞子。名前だけ聞けば大和撫子を連想しないでもないが

アレは撫子どころか毒花だ。ラフレシアとでも呼びたい女。

性格が悪すぎる。

具体的には、まあ思い出したく無いくらいだ。

俺は別にブスを化粧で誤魔化す努力を否定したりはしない。

騙し通せるモンならそれも立派な特技だし。

だが半端なあの女はバレて嫌われた。その時点でアウトだ。

嫌は嫌。駄目は駄目。女に関して匠の意志は固い。

もともと恋愛対象に女を見る奴じゃないしね。軽い遊び相手。

それ以上を望む女には絶対手を出さない。

匠の本妻に収まりたがる舞子なんて論外。


「『嫌われてる』といい加減認めて欲しいですね。」


匠にだけじゃなくこの俺にもね。




※ラフレシア

スマトラ島で発見された世界一大きな花をつける寄生植物。

葉も茎もなく葉緑素も無いためブドウ科の植物の根に寄生する。

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