幕間2

第45話

side 天城 充




「匠さん、えらくやる気じゃん。」


波多野の半分寝てるみたいな声に葉崎の軽薄な声が答える。


「まあな。近畿の方のヤクザに影響を受けんだよ。さっきもここにスパイがいたんだぜ。」


「へぇ…凄いな。」


本気にされてねえな。まあ、軽い言い方の上に信じがたい内容だからな。

無理もない。


「マジですよ。山口友也がハーレーを追跡してます。」


俺の声に波多野が反応した。


「ハーレーを!?」


…そこに反応するのかよ。


「ソイツ今どこだ?」


追う気ですか。


「残念ですね。北陸自動車道米原ジャンクション。」


「あ?」


「追跡許可はそこまでです。」


「山口が追い付けないのか。」


波多野は目を見張った。やっと目が覚めた感じですかね。


「上には上がいるんですよ。」


笑いながら言う俺に


「そりゃあ気合いも入るか。」


ニヤリと笑って見せた。


「波多野っち、俺の言うこと信じてねえんだ!」


傍らで葉崎は怒るが


「お前、軽すぎ。言葉も態度も。」


「‥‥‥」


波多野に言われて今更みたいに葉崎が凹んでやがる。仕方ないフォローするか。


「波多野、葉崎は確かにバカみたいに軽薄ですが嘘はつきませんよ。」


俺の言うことに感激してうるっとしている葉崎。


「‥‥まあな。」


同意した波多野に


「ただ、冗談と本当の境界線の見極めが難しい。

それは葉崎本人の責任です。」


「「は!?」」


二人がポカンと俺の顔を見る。


「…上げて落とした。」


「何時もの事だろ。真治お前もいい加減で充さんの性格掴めや。」


ぼそぼそ会話する2人に背を向けた俺に着信が入った。

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