第42話
「うっす!」
ノックも無しにガチャリとドアが開く。
「いい加減ノックしなさい。」
口うるさく言うのは充だがコイツは歯牙にもかけない。あっさりスルーしてソファーに座る。
「なんか賑やかだな。」
「お前は相変わらず眠そうだな。」
俺の声にニカッと笑うコイツは真治の同級生。
180センチ90キロ。
普段はスローモーで眠そうな奴。
ハーレーが似合う巨漢だ。『緋色』ではNo.4
温厚に見えて喧嘩好き。顔はごく普通。ああ!八重歯がチャームポイントらしい。
「祝え!波多野っち!
俺と充さん、松江に就職が決まった。」
真治が波多野に抱きついた。就職って…。
「重い。将来決めるの早くね?充さんは解るけど。」
まあ、充は安生の甥だしな。真治は
「俺はここに転がり込んでから、ずっと匠さんに付いてく気だったし。」
は?初めて聞いたぞ。
「ああ。命の恩人?」
「おう!一生を捧げる男だ。」
金髪が勢いよく俺に敬礼する。軽い。それにしても何の冗談だよ。
「俺、恩を売ったつもりも覚えもないけど。」
ハテ?と首をかしげた。
「…冷たい。」
「記憶にも残らない出来事だったんですね。」
「泣くな。」
泣き真似する真治の頭を撫でる巨漢。
充の毒舌は何時もの事だ。
それにしてもいくら考えても思い当たらねえが。
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