第41話

「さて、俺の将来はこれで安泰だし、今夜は恵里菜えりなちゃんでいいか。」


「祝いだ!」


俺に向かって親指を立てる真治。裏街道を歩く決意をしたにしちゃ妙に軽い。


「女は当分辞める。」


女より色々やりたいことが出来たからな。真治に告げると煙草に火をつけた。


「組長になる前に肺癌で死にますよ。」


俺が紫煙を燻らすのを不機嫌な顔で見る充は俺の口から煙草を抜き取ると灰皿に押し付けた。


「おいっ!」


何勝手に人の煙草を!文句を言いかけた俺の目の前に人差し指を突き付けて


「俺を側近に置く気なら禁煙は絶対条件です。匠を庇って死ぬならともかく

受動喫煙で肺癌で死ぬなんて間抜けな死に方、させないで下さいね。」


にこりと笑いながら毒を吐かれた。

匠を庇ってとか反則じゃね?

そんな風に言われたら


「…わかった。」


そう言うしかねえじゃん。


「真治もいいですね。」


充に念押しされて


「俺は吸わねえし。」


澄まして答える真治。


「そんなの知ってます。俺が言うのは相手の女の話です。喫煙者は今すぐ切り捨てなさい。理由は…聞いてましたね。」


「マジかよ?恵里菜ちゃんアウトじゃん!」


匠が抱かねえなら俺が貰うつもりだったのにと半べそで頭を抱えた。

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