第38話

「山口を呼び返せ。小田切のシマにまで入ったら洒落になんねえ。」


「流石にまだ北陸自動車道ですよ。」


それでも充のあげたインターの名前はかなり南。


「山口の奴、米原ジャンクションまでは行く気満々なんですけど。」


充の言葉に苦笑する。仕方ねえな。

意地でも追い付く気かよ。

ここら辺りじゃ敵無しでも近畿迄行けば上はいる。


「米原迄だぞ。」


俺の言葉に充が携帯を耳にあてて山口に許可を与えた。


「楽しそうだな。」


口角を上げる俺に真治が呆れる。


「ああ。ワクワクする。」


俺の答えに充が毒を吐く。


「ガキですね。」


「『シェン』の名前で興奮したお前に言われたかねえ。」


俺の言葉を無視して真治が呟いた。


「…喧嘩したかったなぁ。」


「部屋の外に幾らでも相手がいるだろ。」


俺の言葉に真治が笑う。


「匠と充以外、相手になんねえじゃん。」


まあ、ここにいるのがトップスリーだもんな。

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