第39話

「来年夏。許嫁に会いに近畿の七瀬組に行く。」


「へえ?」


真治が無気力な返事を返した。充に至っちゃ顔すら上げない。


「七瀬の組長は俺を小田切聡太と『シェン』に会わせてくれるそうだ。」


「小田切聡太!」


「シェン!」


2人の反応の違いに笑えて来る。


「『シェン』の本名は村木辰弥むらきたつや。小田切聡太の教育係らしい。」


「‥‥‥」


「その時は何人か護衛を連れて行く。勿論松江の組員じゃなきゃなんねえが。山口は一緒だ。」


所謂愚連隊の溜まり場のここは松江組の良いスカウト場所で家庭環境が複雑で勉強嫌いの山口友也は自分から松江に売り込んで既に松江組入りを決めていた。


「今は追い付けなくても来年夏リベンジすることも出きるかも知れねえと

そう山口に伝えといてくれ。」


俺の言葉に2人は複雑な顔で頷いた。

この2人は俺の性格も欠点もよく知ってる。逆に俺もコイツらの動かし方は分かる。出来るなら傍に置きたいがコイツらにはコイツらの考えも有るからな。


「松江に来る気があるなら一緒に来いや。」


今の俺にはこんな誘い方しか出来ねえ。

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